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真鍮とは [一般的な種類と性質]

■ 真鍮とは

非鉄金属の中では、わりとよく取り扱われるのが真鍮です。
非情に身近な金属で、どれくらい身近かというと、五円硬貨の素材が真鍮です。シンクにある水道の蛇口のついてる根っこの部分もそうです。水を出したり止めたりする中継箇所で、長年使っても壊れない丈夫さ、水周りなので錆びにも強くなければいけません。なので、この部品の製品はほぼ100%砲金製です。

「銀色に光ってるけど?」

真鍮の色は黄色なのですが、流しの水道部分はぴかぴかな銀色をしてます。あれは、銀メッキが施された結果です。気になるなら鑢ででも削ってみてください。表面のすぐ下から銀とは異なる金属が顔をだすはずです。

同じく、水洗便所の給水管や便器給水の接続部分(スパッド)にも使われます。メッキ塗装されてるので銀色に反射してますが、本来のカラーは黄色です。仏具や多くの金管楽器などに多用されています。後述しますが、金管楽器のことをブラスバンドといいますよね。あの「ブラス」というのは、真鍮の英名が由来になってます。「だからなんだ」と言われても困りますが、トリビアとして覚えておいてください。

ところで、上記ほど身近ではないですが、紙幣の印刷機などの精密機械、理化学器械類や鉄道模型等の素材、弾薬の薬莢や金属模型なども真鍮が使われてます。とにかく、あらゆるところに広く使用されている金属ということです。


■ 真鍮の特性は?

真鍮は、黄銅(おうどう)とも呼ばれる黄色の金属で、英語名はブラス(brass)といいます。銅と亜鉛の合金であって分量によって色は変わるのですが、「黄銅」というのは、特に亜鉛が20%以上のものを言うようです。

適度な強度と展延性を持つ。つまり固いくせに延ばしやすい、扱いやすい合金として、約350年ほど前から広く利用されるようになった歴史のある金属です。青銅(砲金)のようがより古い金属ですが、純粋な真鍮を取り出す技術が未熟だったせいです。

面白いことに真鍮は、歴史のあちこちで登場する鉱物「オリハルコン」の正体の1つと見られているとか。現代のファンタジーに登場するオリハルコンは、鉄でも何でも易々と切り裂くようなとんでもなく硬質な正体不明の金属。正体が5円玉だと知ったら、世界のRPGファンはさぞかし嘆くことでしょう。


最も一般的な黄銅(真鍮)は、銅65%、亜鉛35%のものですが、銅と亜鉛の割合によって物性が変化します。JISにおいて「銅合金」として扱われていて、材料記号は頭文字Cで始まる4桁記号で表されます。

 C2600 七三黄銅(銅が約70%、亜鉛が約30%) 
  イエローブラスとも言います
 C2801 六四黄銅(銅が約60%、亜鉛が約40%)
   黄金色に近い黄色を示します
 C3604 快削黄銅(混合割合に幅があります)
  銅が57.0-61.0%、鉛が1.8-3.7%、鉄が0.50%以下、鉄+錫が1.0%以下、亜鉛は残部 
  鉛を添加して被削性を高めている黄銅です
 C3771 鍛造用黄銅(混合割合に幅があります)
  銅が57.0-61.0%、鉛が1.0-2.5%、鉄+錫が1.0%以下、亜鉛は残部
 C4600台 ネーバル(naval)
  耐海水性を高めるために錫(すず)を添加しでます。海軍黄銅とも言います 
 CAC201 黄銅鋳物1種


 黄銅の色ですが、一般的には、亜鉛の割合が多くなるほどに色が薄くなり、少なくなるほど赤みを帯びます。亜鉛の割合が増すごとに硬度を増していきますが、その分脆くもなっていきます。実際のとろは、45%以上では実用に耐えません。

どの黄銅も、展延性に優れていることから、冷間加工で使用されることが多くなってます。適度な硬さ。過度ではない展延性が加工の魅力です。旋盤やフライス盤などによる切削加工が容易であり、しかも価格もほどほど。

リサイクルの現場では水道部品としての回収が多いのですが、微細な切削加工に向いてることから、宝飾品としてもよく使われます。

タグ:黄銅 真鍮
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